こんにちは、MOMO(@amemomo_edit)です。
ベルギーはフランダース地域のオランダ語話者とワロン地域のフランス語話者の間で、
常に言語論争が続いている国です。恥ずかしながら、私は「ベルギーにいく!」といったときに、
友人から「何語を話す圏にいくの?」と言われるまで言語論争について知りませんでした。
で、結局今はワロン地域(フランス語圏)にいるわけね
そう😢フランス語の勉強に泣かされているよ
オランダ語とフランス語の対立
ベルギーでは、北部のフランダース地域ではオランダ語が主要言語であり、南部のワロン地域ではフランス語が主要言語です。また、少数ですがドイツ語圏も存在し、そこではドイツ語が話されます。
首都ブリュッセルでは、フランス語とオランダ語、加えて欧州連合の本部があるため、英語が共存し、公用語とされています。しかし、実態はフランス語を話す人のほうが多いきがします。
下の図をみていただくとわかるように、グーグルマップにうっすら線がひかれており、
これが言語境界線です。
ドイツ語圏はあくまでざっくり丸をつけたので、参考程度にしてください。
ベルギー全体でみると、フランス語圏のほうが英語を話せる人はやや少ない印象です。
聞いたところ、フランス語圏はやはり通じる地域が多いので英語の勉強が怠りがちだそうです。
なので、オランダ語圏の人がフランス語を話しているほうが多いとか。
この言語対立は、ベルギーの歴史を通じて様々な形で現れてきました。
言語論争の歴史と対策
ベルギーの言語論争は、1830年のベルギー独立以降、国家の成立と同時に始まりました。
当初は主に教育や司法、行政などの公的な分野でフランス語が優位に立っていましたが、
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、オランダ語話者が民族主義とともに言語の権利を求めるようになったようです。
この結果、オランダ語は公用語として承認されるようになり、両言語が対等な立場になりました。
ベルギー政府は、言語論争に対処するために様々な施策を打ち出しており、
1962年には、言語境界が定められ、それぞれの言語圏で公用語を定めることに。
また、連邦制度の導入により、それぞれの地域が自分たちの言語と文化を守ることができるようになりました。
たとえば、電車や車にちょっとのって、オランダ語圏にいくと全てがオランダ語になるんです。
同じ国なので、不思議ですよね。
現代の言語論争
言語論争は現代でも終息していません。
語話者とフランス語話者の間で緊張が続いており、学校や地方自治体などでの言語使用に関する問題がたびたび表面化しています。さらに、ベルギーの経済格差も言語論争に影響を与えており、
比較的豊かなフランダース地域(オランダ語)と比較して経済的に劣るワロン地域(フランス語)の住民は、
この格差を言語対立に結びつけることがあります。
簡単に言えば、フランダース地域はアントワープなどが入り、ダイヤモンド産業などがさかんです。
対してワロン地域では、農業が盛んで、のどかな景色が広がっているのです。
私はワロン地域に住んでいますが、馬や牛がいて、小鳥がさえずっており、
日本でいう軽井沢のような場所で気に入っています。
若者世代の対応
若い世代は徐々に言語論争から距離を置く傾向にあります。
多くの若者は、英語を共通語として利用し、フランダースとワロンの間でコミュニケーションの壁を取り払っています。
また、国内外で活躍するミュージシャンや映画監督などのクリエイターたちが、
言語の違いを超えた共同作業を行うことで、両言語圏の文化交流が進んでいます。
フランス語圏の友人にきけば、
「幼いころはもちろんオランダ語を習ったが、英語も学ばなくてはいけなくて、
比重が英語に偏った結果、オランダ語は忘れてしまった。使う機会もないしね」だそうです。
3か国語が堪能なベルギー首相
ベルギーの言語論争は、これまでの歴史からも予想されるように、すぐには終息しないでしょう。
しかし、若い世代が言語の違いを乗り越えて交流を深めることで、徐々に収束に向かう可能性があります。
政府もまた、言語対立を和らげる施策を継続的に打ち出すことが求められます。
ちなみに現在のベルギーの首相であるアレクサンダー・デ・クロー氏は、
オランダ語を話すベルギーの政治家であり、フランス語と英語も堪能です。
首相のホームページをみたら最初に言語のページがでてきました。
コロナ中の重要な発表も、フランス語とオランダ語の両方でおこなったようです。
日本でいえば、各地域の方言が話せるみたいな感じでしょうか。
いずれにせよ言語論争は文化や制度の違いや休暇など、いたるところで感じるものの
治安が不安定だったり、日常生活に支障があったりすることは全くありません。
「オランダ語圏のほうが英語が通じるし住みやすい」との声もきくので
今後も色々な場所をまわってみたいとおもいます。