『ぜんぶ、すてれば』:「伝説の経営者」中野善壽氏によるミニマリストのススメ

こんにちは、MOMO(@amemomo_edit)です。
今回は、熱海の「ホテルニューアカオ」や天王洲「寺田倉庫」の経営改革を手掛けた中野さんの書籍を読んだところ、最強に共感してしまったので、その紹介をしたいとおもいます。

現役の書籍編集者だったら、なにがなんでも書籍を作り上げたかったとおもいました。

震えてたよね、読んだ後

お名前はもちろん存じていたけれど、こんな哲学を持たれていたのは知らなかった……!

中野善壽(なかの よしひさ)氏について

中野さんは、日本の企業家であり、芸術愛好家でもあります。
彼は寺田倉庫グループの前CEOで、同社を創業から大規模なロジスティクスおよびエンターテイメント企業へと導いた強力な指導者です。

中野さんは、ビジネスと芸術の間で微妙にバランスを取りながら、革新的なプロジェクトを推進してきました。
彼の最も注目すべき成果の一つは、天王洲アイル周辺の寺田倉庫の再開発プロジェクトであり、ここで彼は倉庫を現代アートの展示スペースへと生まれ変わらせました。

彼はまた、アートの可能性を追求するために、世界各地のアーティストやクリエイターと協力しています。
その情熱と才能は、社会と芸術の間の新たな関係を築くための広大なビジョンを持つことに向けられています。

真の豊かさを見つけよう!『ぜんぶ、すてれば』

中野さんが書いた『ぜんぶ、すてれば』( ‎ ディスカヴァー・トゥエンティワン、2020年)は、物質的な所有から自由になり、真の豊かさを見つけるためのガイドブックです。

この物語は、私たちが何を所有し、なぜ所有するのか、どのようにそれが私たちの日常生活と幸福感に影響を及ぼすのかについての洞察に満ちています。

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中野さんは個人的な経験と洞察を共有し、私たちが物事を所有する理由、そしてそれが私たちの生活にどのように影響を及ぼすかについて深く考察しています。

そして、あまりにも多くの物を所有することが、私たちの精神的な健康と幸福感にどのように影響を及ぼすかについての議論を通じて、その意義を問います。

私たちは物を所有することで安心感を得ているかもしれませんが、その所有がもたらすストレスや負荷、そしてそれが私たちの日常生活に及ぼす影響について本書では深く洞察しているのです。

人生という「旅」をどう生きるか

本書は、私たちの物質的な所有についての考え方を根本から変える可能性があります。

こうした中野さんの哲学は、祖母から学んだ生け花と、旅から生み出されたようです。
心の赴くままに、ふらりふらりと各国を旅しながら美学を追及されている中野さんの生き方は、私にとってどれも美しいものでした。

そのときどきで僕は「好き・嫌い」をハッキリ意識するようにしてきたということ。しかしながら、その場で口にする必要はない。これは好きだな。こっちのやり方は好きじゃないな。理由は後付けでもいいから、直感で主観を示していく。

最初は勇気がいるかもしれないけれど、それをなんとかつくりあげていかないと、自分の中に主たる軸というものができない。じゃあ、自分の「好き・嫌い」を身につける練習はどこでやってきたのか?
僕の経験を遡ると、その原点は幼い頃に祖母から手ほどきを受けた「生け花」の稽古だったように思います。

『ぜんぶ、すてれば』 (p.42-43). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle版.


特に生け花は、私も6年間やっていたので思うのですが、いさぎよく「捨てる」ことが求められます。
本書を読むまで気づきませんでしたが、こうした箇所でも共感したのかもしれません。

旅に関しても、中野さんは独自の考察を書かれています。

人間は慣れるとバカになる。頭を使わなくなって、衰えていく。
だから、できるだけ不慣れな機会に身を置くことが大切だと、普段から意識しています。

『ぜんぶ、すてれば』 (p.58). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle版.

旅といっても、中野さんは豪華な旅をされるわけではないようです。
シンプルに、常に新しい刺激のなかに自分を置く。

こうしたことで、「衰えない」ようにされているのではないかとおもいました。
年齢は多少中野さんのほうが上ですが、同じように新しいことを日々実践されていらっしゃる方として、私は一橋大学名誉教授の石倉洋子さんを思い浮かべました。

人間の生きざまと美学

『ぜんぶ、すてれば』はただミニマリストになるための手引きではありません。

それは物を所有すること、そして物を手放すことについて深く考える機会を提供します。
物を手放すことがすべての問題を解決するわけではないことを中野さんは認識されていますが、物に囚われない生活を選択することで、自由と豊かさを得ることができると信じています。

私は長年書籍編集者として様々な経営者に出会ってきました。
幸いなことにほとんどお目にかかりませんでしたが、特に欲に満ちた人々は私の美学には合いませんでした。

たとえば、印税を非常に気にするような方や、特定の車や家を所有したがるような方です。
無論、欲望は個人を成長させるモチベーションとして重要な要素であると理解していますが、欲望に追われている人を「格好良い」とはなかなか思えませんでした。

対照的に、中野さんの潔さと旅人のような生き方は非常に魅力的に感じました。
物を所有せず、自分の心が向くままに移動し、無駄を削減する生活はシンプル
です。

現代の情報過多な社会において、本当に大切なものを選ぶことの重要さを中野さんは実感していらっしゃるのです。

また、中野さんは過度な露出を避けています。
なので、メディアで拝見する機会は少ないですが、本書を通じ、素晴らしい経営者と出会えたことに感謝しました。

もうすぐ80歳になる中野さんですが、中野さんのような素晴らしい経営者、そして素晴らしい哲学を持つ人々は、日本の宝と言えるでしょう。他の著書も早速読むつもりです。

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最後にこれからの時代を生きる上での中野さんからのメッセージをご紹介します。

最近の若い人に「安定志向」の傾向があるそうです。変化が激しい世の中で、少しでも落ち着けるよう願う学生も多いのだとか。僕が言いたいのは一つ。世の中に安定というものは存在しません。

そんな世界の中で必要になるのは、安定を求める心ではなく、変化に対応する力。冷たい風を一瞬感じて立ち止まる力。そして、足先の方向をクルッと変えて、また颯爽と歩き出す力。変化に強い自分を鍛えていくことを、若い人にはおすすめします。

『ぜんぶ、すてれば』 (p.33). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle版.

ミニマリストの生活を志したり、これからの豊かさを考えている方々にも、本書はきっと大いに参考になるでしょう。

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